鎌倉駅江ノ電口からすぐ前の細い路地を入ると舌の肥えた鎌倉人に評判のお好み焼き「津久井」がある。今でこそ、にぎやかな表通りも、店主の柿沢昭治さんが、店を構えた昭和46年ごろは、まだ静かな町だったという。当時の面影をそのままに、お座敷でいただくお好み焼は、風情があっていい。自慢の「津久井天」は、イカと海老に牛肉、荀、椎茸などたっぷりの具が人ったミックス焼。「豚肉ではなく牛肉を使い、魚介類も冷凍ものではなく生を使います」筍や椎茸も、味のアクセントに欠かせない。そして、キャベツを中心にモヤシ、揚げ玉、刻み葱、千切りのニンジン、紅しようが、卵1玉が、1枚のお好み焼に入ってくる。「粉は鰹ダシで溶いて、山芋を加えて塩とこしょうで味を調えます」小さなボウルに1枚分の具が盛りつけられて、席に届く。焼き手は、お客さま。鉄板に薄く油をひいて、よく混ぜ合わせた具を流し込む。



「みなさん楽しみながら、焼いてくださいます」。鉄板が10ミリと分厚いので、表面はカリッと中はふんわりと上手に焼ける。焼き上がったら、ソースを塗って、鰹節と青のりをかけて。あとは黙々と頬張るだけ。一口食べると、まずは野菜の甘みがホワッと舌に広がる。ソースが甘くない分、ダシの利いた生地や、具のうまみが感じられ、後味もいい。続いて、津久井特製の太麺で作る焼そば「津久井」は、歯ごたえがあって美味。「視水を使ってごま油で仕上げた麺を2時間かけてふかします」また、津久井オリジナルの「豆腐焼」も、しょうゆの香ばしさと外側に巻いた卵の取り合わせが絶妙の傑作。「具をみじん切りにした焼めしも鉄板で焼きながら召しあがれます」 鎌倉散策の途中で立ち寄りたい店-昔懐かしい民家の座敷で鯉の泳ぐ庭を眺めながら食すお好み焼や焼そばも、なかなかオツなものである。

 





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